ロスタイム

この3週間くらい、ずっと写真を撮っている。シャッター切る回数ということでいえば、 こんなに撮ることに没入したのは学生以来かもしれない。カメラも、意識的に常に持ち歩くようにしている。そういうのって自分の資質ではないよなと思ってきたけど、なんというか、整体でからだのゆがみを矯正したくなったというか、視野枠を更新したくなったというか。

大判を使わない、三脚を使わないとなると、撮影はどうしても身体の行為という面が強くなる、それが良いか悪いかはともかく。
ニューカラー云々という話とは別にして、没入しない感じとか身体性を感じさせないとかいう点で大判・三脚という組み合わせは自分にいちばん合っているとは思っているけれど、やっぱり異質なものや忘却していたものを導入して、新しい交差点を発見していかないといけないのは間違いない。

ある信頼する人が「もういつ笛が鳴ってもおかしくないから」と言っていた。そうだと思う。
この試合が終わっ ても、これが最後のゲームとは思っていないけれど、次に再開するゲームは、これまでとはルールがすこし変わる。出場選手は交代して、審判も交代する。観客も入れ替わってるかもしれない。自分が選手登録される保証はないし、さらには観客としてスタンドに居続けられるかどうかもわからない。
だからとりあえずこの試合、ホイッスルが鳴るまでにできることはやっておこうと思う。べつに悲壮感とかそういうことではぜんぜんないですよ。すこし、脇汗がにじむくらいには、わくわくもしている。

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村瀬恭子展と98歳

愛知県の豊田市美術館で村瀬恭子展を見た。ちょっとついでに寄って行こうという感じだったのだけれど、見てよかった。
ほぼ10年間の作家の集中力と揺れを通観できるとても良い展示。図録も良かった。
豊田市美術館は、行きたいと思っていてこれまでチャンスがなかったのだけど、この村瀬恭子展で初めての訪問となったのはかえって良かったかもしれない。この美術館のこの空間で、且つこの作家でなければ得られないなにか。
美術館は谷口吉生の建築です。
東博の法隆寺館がと ても好きで、丸亀もいいが、ここもとてもよい美術館だったすごく稚拙な言い方だけど、開放的で、でも空気がシンとしていて、なんか頭が良くなったような気にさせてくれるような、とてもよい空間だと思う。採光もすばらしい。

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で、そもそも「ついで」というのは、また岐阜へ行くことになったからで、祖父98回目の誕生日。
明治最終年生まれにしてジョン・ケージやポロックと同い年の祖父。口ぐせは「貯金せえよ」。
本人、嬉しいのか嬉しくないのか不明のまま、17時から夕飯を食べるという日々の習慣を崩さず簡単なお祝いの夕餉。
ほんとに100歳になったら、写真集でも作るかな。

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大人の階段

先日、あることをやり終えた。
昨年末の出版、2月の展示に続いてのある意味大きな出来事。喜ばしいことなんだけれど、なかなか気ふさぎなこと。ずっと頭の上にぶらさがっていた巨石のような。
いろいろ思うところがありますが、なんというか、大人の階段をのぼった感、現実入門した感がある。この一件でお世話になったみなさま、この場であらためて御礼申し上げます。
さて、やっと、これからしばらくは写真のことだけに集中できる。


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直島やら豊島やら

ちょっとした仕事で瀬戸内海の島々を巡ってきました。
小豆島、直島、豊島、犬島を一日ずつ転々として撮影した4日間です。ただあいにく天気が最悪で、東京でも雪が降ったようですが、瀬戸内海も吹雪きました。
夏に使う写真を撮りにいって雪じゃどうしようもないな、ということで、直島では港の目の前にあるしょぼいたこ焼き屋(兼飲みや)でビール飲みながらみぞれが止むのを待っていました。店内には数枚のサイン色紙が張ってあり、あーこんな店にも有名人来るんだな...。ふっと天井を見上げるとそこにも色紙が張り付けてあり、おや?..おやおや?...なんか見たことのある筆跡。
「OSAMU KANEMURA」
あー来たんですね。

その他、007記念館(必見)に立ち寄ったり、手延べそうめんの工場を見学したり。
こういう、いろいろな条件下で慌ただしく撮らなくちゃいけない撮影は、やっぱりデジタルとかだと便利かもなぁと寒さも手伝ってやや弱気に帰路についたところ、コダック、カラー印画紙生産中止の情報。唐突過ぎやしないか。
コダックはつい先日、新しい4×5と8×10のフィルムを発売したばっかりなのに、やってることが支離滅裂。あるいはロールの印画紙は続けるってことなのかな。とにかく残っているスープラは大事に使っていかないと。
やれやれだ。


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展示終了・感謝深甚

リトルモア地下での展示が終了しました。写真を見に、原宿まで足を運んでいただいた一人一人に感謝を申し上げたいです今回は会期中に対談を2回しましたが、それを聞きに来てくれた方々にもお礼を申し上げます。
芳名帳に残された御名前をひとつひとつ辿り、アンケートに記された言葉をつらつら眺める夜。

そのアンケートのなかに下のような一枚を発見。(無断掲載ですみません。困るよ、という場合はメールください)。

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そ、そうなの?

対談終了・展示はあと6日

19日の服部一成さんとの対談もなんとか乗り切りました。
写真集がなぜあのような造本になったのかということから、服部さんのデザインの着地のさせ方などをめぐって、自分の写真と絡めつつ、話をしました(よね、たぶん)。

服部さんにしろ、前回の金村修さんにしろ、この脳味噌足らずのでくのぼうである今井からのオファーを(おそらく)快く引き受けてくれて、感謝ばかりです。
また足を運んでいただいた皆さん、ありがとうございました。
質問をしてくださった皆さん、ありがとうございました。今回も、質問が結構よくて、質問者にも救われました。
対談、はまりそう。しかしまだまだしどろもどろだ。

(ちなみに僕が対談中に触れた、高校時代の服部さんのエピソードは「
文字講座」という本から引いています。服部さんの章も含め、文字やフォントに興味のある方には一冊まるまる面白い本です。)

さて。
リトルモア地下での展示も、月曜が休みなので、23日火曜から28日の日曜まで、残すところあと6日となります。


(写真は服部対談の様子)
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忘れるまえに

展示のオープニングの二次会で他の写真家さんと話したことや、先日の金村さんとの話をたまにふと反芻しながら、ここ数日思い出している言葉があって、それは「映画には芸術映画と商業映画があるように思われているが、そのせめぎ合いの中にこそ映画はある」という、映画監督・黒沢清さんの、どこかで読んだ言葉。
映画を写真に置き換えてもなんの問題もないし、そうでしかないとずっと思っている。


さて、明日は服部さんとの対談。

展示はじまってます

リトルモア地下での展示、始まってます。
いまさらですが先週のオープニングに来てくださった皆様、ここでまとめて感謝申し上げます。ちゃんとお話しできなかったり、話の途中になってしまったりで八方美人的応対の数々、申し訳ないです。

そして昨日は金村修さんを迎えての対談第一弾。
寒いのに定員オーバーの多くの皆さんに足を運んでもらいました。
もうすこし長く話せれば良かったんですが、意外に時間が足りなくなってしまいました。突っ込み不足?脱線不足か?と思わなくもないところです。
質問してくださった方々、ありがとうございました。
あの場に来てくださった皆様、ありがとうございました。
金村修に叱られ...なくて、よかった...


来週は第二弾、服部一成さんをお迎えします。
ほぼ定員に達しつつありますが、まだすこし入れるみたい。
はたして当日、今井は服部さんの笑顔を引き出すことができるのか?

(写真は金村対談の様子)
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金村修さん

自分が写真をはじめた1995年頃、書店に行けば「deja-vu」やmoleの冊子で金村さんの作品を頻繁にみることができて、まるで中堅作家のように享受していたけれど、実は自分と10歳しか離れていないと知ったときはショックだったのを憶えています。金村さんのプリントを初めて見たのは川崎市民ミュージアムだったか横浜美術館だったか。黒々として、強くて、暴力的だったけど無音だった。

早い段階で自分が日本で風景を撮るのにモノクロではやれることないなと思っていた(と思うことが若かった証拠だ)けれど、そう思わされたのは二人いて、ひとりは柴田敏雄さん、もうひとりは金村さんの写真でした。

その金村さんが昨年「斬進快楽写真家」という文字ものの本を出したのは、多くの人の知るところ。タイトルからだとお気楽なものと誤解されそうだけれど、金村さん特有の言葉が、書き出しから最後の一行まで途切れずゆっくりと加速していく。
全体にとにかく面白い本ですが、なかでもいちばん痺れたのはこの言葉。
「鏡はなにかを映しているから、鏡そのものを見ることができないけれど、何も映っていない鏡そのものが見たい」

そんな金村修さんと対談をします。
In-betweenのこと、イメージフォーラムのこと、鈴木清さんのこと、写真を撮り続けるということ。
金村さんと僕の写真双方を知っている人にとっては意外な顔合わせでは?


アーティストトーク at リトルモア地下
金村修×今井智己 2月12日(金曜日) 19:30 スタート
問い合わせ:tel:03-3401-1042 (平日10時〜18時のみ受付)

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最近

昨年末に本が出て、それから人に会ったり手紙を書いたり、いろんなものを発送したり展示の準備をしたりで、いつの間にか新しい年も始まってしまいました。2010年なんてSFみたいな西暦で、どうもまだ嘘っぽい。

脱力したせいか、年末に風邪をひき、年越しは閑居で読書。「チャパーエフと空虚」と「真鶴」を読み終えて、しかし自分写真家なんだしそろそろ撮影を再開しないといけません。
光と重力は8年ぶりの!とか書かれたり言われたりし、そのたびに面目ないと心中で平謝り。そんなつもりはなかったし、In-betweenとか出してるしと痛い言い訳したいのですが、やっぱり不本意に時間をかけすぎるのはよくない。次はクイッククイックで行きたいものですというのが今年の抱負であります。

リトルモア地下での展示に向けて、簡単なマケットをこしらえて思案してみました。個展の時は模型で考えるのがいちばん早いです。

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